2014/3/27に開催された第三回中央区子ども子育て会議についてレポートします。
今回も会議は18:30スタート。まつむらのサンドイッチつきです(^^) 他自治体では平日昼間の開催のところも多いようなので、サラリーマン委員にとってはありがたい開催時間です。
さて今回のテーマはずばり「保育等の需要量見込みについて」。次第に核心に入ってきた感があります。事務局(区)が需要量見込みのたたき台を提示し、それに対して委員が質問・意見表明するという内容でした。
以前のブログ記事(会議資料を1ページだけ読んで理解する中央区子ども・子育て会議)で 保育園の需要量見込みは「人口推計」X「保育ニーズ率」で計算される と説明しましたが、今回もこの形にしたがって以下ご説明します。
1.人口推計
ご存知の通り中央区の人口の伸びはとどまるところを知らず、すでに「中央区基本計画2013」の人口推計を上回って推移しており、この人口推計をそのまま使うのはまずいでしょということを第一回の子ども子育て会議で指摘しました。これに応える形で今回、直近の開発見込等を用いて推計をやり直した「子ども子育て支援計画 人口推計」が提示されました。H31年時点で0~5歳児が8,929人(前回推計)→10,343人(新推計)と上方修正されており、特に月島地区の上振れが大きいようです。もちろん今後も推計と実績値をモニターしていく必要はありますが、まずは新推計が出てきたということで、中央区の対応は評価できるのではないかと思います。やるぅ。
2.保育ニーズ率
保育ニーズ率は、昨年実施したアンケート調査の結果を、国が示すガイドラインに従って集計して算出されます。アンケート調査の結果なので、今の就労状況には関係なく「父母ともフルタイムで働く希望があり」「保育園を利用したいという希望がある」とアンケートに回答すると、保育園の需要量としてカウントされることになります。これまで保育ニーズ率は、保育園入園申し込みの数から算出するしかなかったので、いわゆる潜在的待機児童はカウントできないようになってました。なので私も、今回のアンケート結果でニーズ率がどのくらい出るかには注目していました。
さてアンケートから集計された保育ニーズ率は…ジャーン! 0歳児は61.0%、1~2歳児は58.2%、3~5歳児は44.2%。うん、まあまあそんなもんか、潜在需要が10%弱くらいあるっていうことで実感には合ってるな、という感想を持ちました。ちなみに3~5歳児は幼稚園という選択肢があるので自然と低くなります。
さてこれに対して、区が提示した需要量見込みのたたき台では、以下に引用する理由でこの数字はそのまま使わず、「現在の保育利用率で算出」されていました。つまり、「希望」ではなくて「実際利用している」のほうの、より小さなニーズ率を使って出してきたということです。
- 「0歳については、実際は育児休業等を取得していても希望として保育園を選択するため、需要が高くなる。」(これによって 61.0% -> 26.8% に調整)
- 「1~2歳については、現在就労していない母親の就労希望を反映するため、フルタイムXフルタイムの家族類型別児童数が多くなること、それに伴い保育施設の利用希望も高くなることが要因で、1・2歳の需要量が高くなる。」 (これによって 58.2% -> 51.2%に調整)
私からは、ここは聞き捨てならんということで、次のように意見申し上げました。
- 0歳について:「0歳の間は育休をとる人もいるから、保育ニーズは過大に出ている」というのは、4月1日時点だけで通用する話です。その後、子どもたちはどんどん1歳になり、親の育休は満了します。その時に0歳児クラスに空きがなかったらどこに預ければいいのか?
- 1~2歳について:この部分(58.2%-51.2%=7%)こそが「潜在待機児童」、つまり「保育園に入れられるならば(パートタイムorフルタイムかはともかく)働きたい」と思っている層です。この部分を需要量として認識しなかったら、アンケート調査をした意味がないんじゃないでしょうか。この部分の需要量を確保することは、女性の就労を後押しすることにダイレクトにつながるので、認識することを強く求めます。
これに対して区からのコメントは「アンケートの信頼性が…」「何歳時点から働きたいかの設問がなかったので…」等々。まぁそれもわかるんですが。ただ、せっかくアンケートをして明らかになった潜在的な就労希望を、「アンケートの信頼性がない」「アンケートでマルをした全員が働くわけじゃない」といって完全スルーするのはなしでしょ、と思うので、ここは引き続き指摘して行かなければと思います。
会議では、その他の子ども子育て関連事業(学童・プレディ、病児保育、一時預かりなど)の需要量見込みもありましたが、それについてはまた今度。
<おわりに(感想)>
いったん需要量として認識してしまうとそれに100%対応する受け皿を用意せざるを得なくなるので、区が需要量見込みに対して慎重になる気持ちもよく分かります。またこれまでの行政の常識に反するやり方-保育園作るみたいなオオゴトな決定をこの(いい加減な)アンケートに基づいて行うこと-に対する抵抗があるのもよく分かります。でも過去には、少し保育園を増やす→潜在需要を掘り起こす&人口流入に追いつかない→待機児童減らない→また少しだけ増やす、というのが繰り返されてきたのがここ数年です。今回せっかく子ども子育て新制度の名のもとに、初めて需要見込みに基づいて保育環境を整備しようとしているのですから、思い切った計画が出てきてしかるべきじゃないかと思います。減ったとはいえ、まだまだ中央区には待機児童はいますし。
私は需要サイドの代表として会議に出ているので、あえて空気を読まずに「もっと保育園作れ作れ」という意見表明をしていかなければいけないなと思いを新たにしました。
一方、ポジティブな気付きもありました。第一回会議で問題提起した人口推計について区が新しい推計を用意してきた点については、「意外と打てば響くものなんだな」と感心し、もっと大げさに言えば「自分のアクションで社会が変わるんだな」という手応えを感じました。子育て当事者代表の公募委員としてできることはまだまだたくさんありそうだなと改めて感じました。
また近いうちに、区民パパママ向けに会議の内容をフィードバックし、ともに中央区の子育てについて考えるタウンミーティングを開ければいいなと思っています。よろしくご参加いただければと思います。それまでの間にも、ご意見ご感想などありましたら問い合わせフォームからお送りください。
(日本橋パパの会代表 鹿子木)
※追記:区のホームページに第三回会議資料が公開されました。上の記事で注目したのは、この中の「資料3-1 保育所・幼稚園需要量」です。下に画像も貼りますのでご参照ください。