日本橋パパの会代表&中央区子ども・子育て会議委員の鹿子木です。
こちらのイベントお知らせに書いたように、11月4日に「中央区子ども・子育て会議 タウンミーティング」を開催し、区民パパママに子ども子育て会議の内容をフィードバック&ディスカッションすることができました。今回は、このタウンミーティングの報告がてら、中央区の子ども子育て会議でいちばんのキモになっている部分について解説してみたいと思います。区民パパママのみなさま、ちょっと長くなりますがお付き合いください。
第一回中央区子ども・子育て会議のレポート(速報)は以前のブログ記事をご覧ください。
1.はじめに
かなり分厚い第一回会議の資料の中で、この1ページがキモだと思うページを、こちらに転載したいと思います。以下、このページの細かいところにツッコミを入れながらお話したいと思いますので、このグラフはじっくりと拡大してご覧ください。第一回会議資料(リンクはこちら)の資料8の23ページです。
このグラフは、現時点での保育需要の見込みを示したグラフです。この推計の精度を上げて、それに対応する事業計画をつくっていくのが子ども・子育て会議の役割になります。
さて、保育需要の推計ってどうやっているのかというと、とても単純な数式で計算しています。
(保育需要量) = (人口推計) x (保育ニーズ率)
式を見れば明らかなように、精度の高い需要量見積もりのためには、a) 精度の高い人口推計 b) 精度の高い保育ニーズ率推定 が必要です。これから、それぞれについて詳しく掘り下げます。
2.a) 人口推計について
グラフの中の青い折れ線が、未就学児数の推計値です。出所は、注意書きにある通り、中央区が実施した「将来人口推計」です。H24年に7000人ちょっとだった未就学児の数は、H30年に9,280人でピークに達し、その後なだらかに減少していくという推計になっています。
この人口推計には色々と突っ込みどころが満載です。
- 2020年に東京オリンピックが開催されることを前提としていない
- 築地市場移転後の跡地の住宅開発を前提としていない
- グラフ内赤線で書かれている実績値を見ると、H25年で7,371名と、すでに推計値を150名上回っています。この1年の増加率で見ると、推計2.3%に対して実績値は4.5%、と約2倍となっています。誤差と呼ぶにはちょっと大きすぎますよね。
てな感じで、どう見ても推計甘いんじゃないの?というシロモノです。この点は第一回会議でも指摘して、推計をやり直す必要があるのではないかと意見しました。引き続き問題提起していきたいと思います。
3.b) 保育ニーズ率について
「保育ニーズ率」とは聞き慣れない言葉ですが、要は未就学児の数のうち、何%が保育園を必要としているかという数字です。同資料の16ページの表にある通り、H25年の「保育ニーズ率実績値」は40.4%と過去最高水準だったそうです。推計ではそこにちょっと上乗せして44%としています。
というわけでここには「保育園に入れるならホントは働きたいけどどうせ入れないならやめとこう」といういわゆる「潜在待機児童」はキャッチしていないことになります。潜在待機児童を入れると、この44%が50%になるのか、はたまた60%になるのかわかりません。でも、できれば潜在待機児童の数も把握して、その分も保育サービスを確保することによって、一人でも多くのお母さんの社会復帰をアシストしたいですよね。このように現在把握できていない保育ニーズをキャッチするために、今回無作為抽出のアンケート調査(ニーズ調査)を実施しています。11/15(金)が回答締め切りですので、調査票が来たおうちの方はぜひぜひ回答をお願いします。
4.現在の保育園設置計画について
グラフの中のオレンジ色の棒グラフは、保育定員を示しています。ご存知のように、中央区では来年平成26年4月に認可保育園が6園開園します。これまでのスローペースの保育園設置からみると、半ば「ヤケクソ気味」(笑)と言えるほどのアグレッシブな設置計画です。これにより、グラフのH26年のところを見ると保育定員は2,953人→3,549人と大幅に増加し、保育需要(2,943人)を大幅に上回る、つまりは余裕で待機児童がゼロになる、という計画になっていることが読み取れます。
さて、この目論見どおり、本当に来年の4月に待機児童はゼロになるのか?もしゼロになったら、保育園を求めて中央区への転入がさらに加速するのか?ドキドキしながら見守りたいと思います。
5.おわりに
ご存知のように中央区は全国2位の人口増加率、しかも転入は30~40代の子育て世代が中心、という特殊事情があり、どうしてもハコ(保育定員)をいかに確保するかが最重要課題となります。子ども・子育て会議ではそれ以外にも話すべきことは尽きないのですが、ひとまずはこの保育需要の把握(推計)にフォーカスして議論が進んでいくと思われます。
ご意見などありましたらどうぞお問い合わせフォームからお寄せください。